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近未来の宇宙開発ー宇宙発電所と月開発ー

  月探査・開発

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トピックス

夜空に煌々と輝く月、月は太陽とともに私たちにとって最も身近な天体です。月は地球に最も近い天体であることから、将来は人類の本格的な宇宙進出の場として、そして、さらに遠くへの前進基地としての役割を果たすと考えられています。月には軌道上の宇宙インフラ(宇宙工場、宇宙発電所、宇宙滞在施設など)の建設資材の調達や、火星などの惑星進出の発進基地としての役割も期待されています。月にはこれまでに100機を超える多くの探査機が送られ、近い将来滞在型の有人探査が行われようとしています。おおまかに言えば、月探査が始って以来2020年頃までの約60年間が、国の機関による「月の科学探査と利用の可能性調査」の時代、それ以降の数十年が民間企業も参加する「月の実利用のための準備」の時代と言えるでしょう。

1960年代から1970年代初めにかけて、米国とソビエト(当時)により活発な月探査が行われました(最初の月探査ブーム)。これには月の科学的な謎の解明という側面だけではなく、米国とソビエト(当時)の国威をかけた宇宙開発競争という側面もありました。1969年に米国がアポロ計画で人類最初の月着陸を果たし、競争が一段落した後は、まるで火が消えたように、月探査は20年近く行われませんでした。1990年代から、科学研究に加えて、将来の月の利用のための調査を主な目的として、「ふたたび月へ!」のかけ声とともに、ヨーロッパ、米国、日本、中国、インドで月探査のプロジェクトが次々と立ち上がり、月探査ラッシュのような時代が到来し、2010年頃まで活発な探査が行われました(第二の月探査ブーム)。

我が国では、この第二の月探査ブームの始まりの少し前1990年に、工学実験機「ひてん」が月に到達し、小さな衛星「はごろも」を月軌道に投入しました。その後、アポロ計画後では最大規模の探査機となった月探査機「かぐや」により、2007年から2009年にかけて月の観測・調査を行いました。これにより月面の物質、地形、重力場、磁場、環境について膨大なデータが得られ、現在も内外の研究者がデータ解析に取り組んでいます。これまでの解析により、全球的なマグマオーシャンの存在、表面固化のシナリオ、表裏二分性の原因、創成期の大規模磁場の存在、現在の内部状態、など月の起源と進化に係わる大きな科学的進歩がもたらされました。また今後の月の開発利用の計画に必要な、三次元地形、資源、地下構造、日照域、極域の水氷の情報が得られました。さらに、月軌道への投入技術や制御落下技術など、次の段階の月探査につながる技術も習得できました。我が国ではその後15年近く月探査は行われませんでしたが、2024年にはSLIM(Smart Lander for Investigating Moon)で我が国初の月面着陸に成功し、狙った場所に正確に着陸する技術の実証を行いました。我が国の月探査は以前は国のプロジェクトとして行われてきましたが、現在では産業界も含む幅広い立場の人々が月探査・開発の計画を推進しています。

2010年頃までの月探査ラッシュ後は、国際的にも、周回衛星による遠隔探査の時代は終わり、着陸探査の時代に移りました。中国は、現在に至るまで、月表側への着陸、月裏側への着陸、月表面からのサンプルリターンと段階を踏んだ継続的な月探査を進めており、その存在感を示しています。2020年頃からは、各国で民間企業(我が国のispaceのHAKUTO-Rなど)も含めた月軟着陸への挑戦が続けられていますが、空気抵抗の無い重力天体への着陸は高度な推力制御技術が必要で、現段階では必ずしも成功率は高くありません。インドのISROは2023年に着陸に成功し、前述のようにJAXAは2024年にSLIMで着陸に成功しています。

今後は、これまでの無人月探査の時代から、有人の月開発の時代に移るでしょう。米国を中心としてヨーロッパや日本が参加するアルテミス(Artemis)計画では、2026年に有人月周回ミッション、2027年に宇宙飛行士を月面に送る計画となっています。ただし、トランプ政権の下、宇宙計画は流動的になったので、予定は変更される可能性があります。一方中国でも、ロシアの参加を得て、2030年代に月面基地を建設する構想(ILRS:International Lunar Research Station)があります。これらの実現にはまだまだ時間がかかると思われますが、月の有人基地が実現すれば、月の本格的な開発が始まり、人類社会の長期的な持続的発展がもたらされることでしょう。

さて、これまでの月探査で必ず標榜された月科学のキャッチフレーズ「月の起源と進化の解明」ですが、どこまで解明されたでしょうか?膨大な科学データが得られ多くの進化のプロセスが明らかになりましたが、起源についての確固たるモデルは、まだ得られていない状況です。月の有人基地に科学者が滞在して、フィールドワークを繰り返すことによって、やっと結論が得られるのかもしれません。


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